縄文杉の写真


還暦を迎える節目の家族旅行に、私は屋久島を選びました。
世界遺産の森が深く息づくこの島で、悠久の時を生きる縄文杉に会いに行くことは、長い人生の折り返しにふさわしい挑戦だと思ったからです。
ガイドの眞邊さん、そして子供たち。
家内は別のコースでしたが、家族でのトレッキングは何よりの贈り物だったと思います。

早朝真っ暗なバスで到着した荒川登山口を5時30分に出発しました。
標高600メートルから、縄文杉のある1300メートル地点を目指し、往復約25キロメートル。
数字にすると気が遠くなりましたが、林道に響く川の音、苔が柔らかく光る岩肌、霧をはらむ巨木の姿に、足取りは自然と前へ進みました。
11月23日、空は文句なしの快晴で、夜空には木星が確認できました。
最低気温11度、最高気温17度という絶好のコンディションが味方してくれました。

前半はトロッコ道が続き、暗がりの中だった為ヘッドライトで照らした足元だけ注意してリズム良く歩を進められました。
しかし本番はその先からでした。木の根が複雑に絡む登山道は、まるで森が作った迷路を踏破するようでした。
屋久島は「1か月に35日雨が降る」と言われるほどの雨の島です。
その雨が森を育み、樹齢2000年とも7200年とも言われる縄文杉を、今もなお生かし続けています。

息が上がる。脚が重い。
しかし、太古の生命に触れる期待が、体を背後から押してくれました。
やがて鋼鉄のような存在感を放つ巨木が姿を現しました。
―縄文杉。

その樹皮には無数の7200年の時のしわが刻まれ、幾世代の風雪に耐えてきた威厳が宿っていました。
60年生きてきた自分の歴史が、この樹を前にすると一瞬で小さな点になりました。
子供達と写真を撮り、埼玉、沖縄、熊本から集まってくれた事に感謝しました。

下山は、思いのほか厳しい状況になりました。
膝が痛みに悲鳴をあげ、歩を進めるたびに痛みが酷くなりました。
それでも諦めず、一歩、また一歩と足を前に置く。
家族の存在と森の癒しとガイドさんの励ましが助けとなりました。
登山口へ辿り着いた瞬間、身体の底からふっと緊張が抜けようでした。

約10時間の所要時間と歩行数40,353歩。
数字はただの記録にすぎないけれど、その一歩一歩に、自分のこれまでと、これからへの願いを刻んできたのだと思う今回の旅でした♪



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