Jardiance National Conference 2025 かかりつけ医のためのCKD治療戦略

院長は「かかりつけ医が実践する、CKD診断とジャディアンス導入後のフォロー方法」というタイトルでお話ししました。

①日常診療ではCKDステッカーを独自に作成し、3ヶ月を超えてeGFR60未満を確認し診断します。
②SGLT2開始後、糸球体内圧低下を反映しeGFR初期dipが出現するために、1、2、3、6、12ヶ月後に採血フォローを行います。
③実臨床においてもエンパグリフロ人はeGFRスロープをRAS阻害薬有無に関係なく緩やかにしました。以上の内容を講演しました。

本講演会では、美馬先生、吉野先生、太田先生の講演に続き院長の講演がありました。
かかりつけ医を対象に、慢性腎臓病(CKD)治療の最新戦略が解説されました。
日本の成人5人に1人(約2000万人)が罹患するCKDは、一度悪化すると回復が困難で、心血管イベントのリスクを増大させる生命予後に関わる疾患です。
しかし、患者の9割以上が未診断・未治療のまま放置されている現状があります。

講演では、CKDの早期発見・早期介入の重要性を一貫して強調されました。
その鍵として、尿中アルブミン測定の習慣化と、eGFRの経時的変化(eGFRスロープ)の評価が挙がりました。
尿中アルブミンは腎症の早期マーカーであると同時に、全身の血管障害を示す強力な心血管イベント予測マーカーであり、かかりつけ医はこれを心電図のST上昇と同等の危機感を持って捉えるべきであると指摘がありました。

治療戦略の核となるのが、SGLT2阻害薬、特にジャディアンス(エンパグリフロジン)です。
本薬は、糖尿病治療薬から心不全、そしてCKD治療薬へと適応を拡大し、EMPA-KIDNEY試験など多くの臨床試験で、糖尿病やアルブミン尿の有無にかかわらず、eGFR低下スロープを緩やかにし、腎疾患の進行や透析導入リスクを大幅に低減することが証明されました。
この腎保護効果は、糸球体過剰濾過の是正をはじめとする多面的なメカニズムによるものと解説されました。

臨床応用においては、eGFRが比較的高い早期段階からSGLT2阻害薬やRAS阻害薬による治療を躊躇なく開始することが、腎臓の寿命を大幅に延伸させ、透析を回避するために極めて重要であると結論づけられました。
また、ELTEPのような視覚化ツールを用いてeGFRスロープの推移を患者と共有し、「あなたの寿命より腎臓の寿命を長くできれば透析は避けられる」と伝えることで、患者の治療への理解と納得感を高めるアプローチも提言されました。






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