当院でのHbA1c測定について 〜精度を重視した検査を行っています〜
先日、当院で定期的に糖尿病管理をされている患者さんから、「健診で測ったHbA1cと当院での結果が少し違うのはなぜですか?」というご質問をいただきました。
実は、HbA1cは「どの測定方法で検査するか」によって、得られる結果にわずかな差が生じることがあります。
当院では、アークレイ社の高性能液体クロマトグラフィー法(HPLC法)という、現在国際的に「ゴールドスタンダード(最も信頼できる方法)」とされている測定法を採用しています。
HPLC法は、血液中のさまざまな種類のヘモグロビンを非常に精密に分離し、糖化ヘモグロビン(HbA1c)の割合を正確に測定することができます。
この方法は、測定精度が非常に高く、異常なヘモグロビンの存在も検出できるため、より正確に血糖コントロールの状態を把握することが可能です。
一方で、健診や簡易検査で使われているHbA1cの測定法は、酵素法や免疫比濁法などの「生化学的方法」が主流です。
これらの方法は、検査機器が小型で迅速に結果が出るという利点があり、健診現場や一般のクリニックで広く使われています。
ただし、HPLC法と比べると若干の測定誤差が出やすく、異常ヘモグロビンの影響を受けることがあります。
当院では、患者さんにより正確な血糖管理を提供することを大切にしているため、あえてHPLC法を採用しています。
そのため、測定には通常より少し時間がかかる(数分程度)のですが、「信頼できる数値」をお渡ししたいという思いで日々検査を行っています。
実際、当院でのHbA1c測定をきっかけに、膵臓疾患や早期がんを発見できたケースも複数ありました。
血糖値やHbA1cのわずかな変化を見逃さないことは、糖尿病治療の質だけでなく、重篤な疾患の早期発見にもつながると私たちは考えています。
健診での結果ももちろん参考になりますが、治療の指標としては、毎回同じ検査法・同じ装置で測定を続けることが最も重要です。
もし健診結果と当院でのHbA1cに差がある場合も、測定法の違いによる可能性がありますので、過度に心配されず、ぜひご相談ください。
