鶯の鳴き声に春を感じて
春の訪れを告げるように、「ホーホケキョ」という澄んだ鳴き声が山里に響きはじめると、今年もまたこの季節が来たのだと心が和みます。
この声の主は、日本人にとってなじみ深い野鳥、ウグイス(鶯)です。
ウグイス(学名Harornis diphone)は、スズメ目ウグイス科ウグイス属に分類される鳥類です。
ウグイスがこうして鳴くのは、繁殖期を迎えたオスが縄張りを示し、メスに求愛するため。
鳴き声はただの声ではなく、生きるための大切なアピールなのです。
声に耳を澄ませていると、一羽一羽が春の森で自分の場所を探し、命をつないでいこうとする姿が浮かび上がるようです。
ウグイスのさえずりは、地域によって時期がやや異なりますが、九州では2月下旬から3月頃にはすでにその姿が感じられます。
私自身も熊本県玉名市で、毎年2~3月になると、朝の空気の中にほのかに響く「ホーホケキョ」を聞き、春が来たことを実感してきました。
やがてその声は4月~5月にかけて最もよく響き、6月を過ぎると静かになっていきます。
今日6月4日も上手にホーホケキョ・ホロホロホロと上手に鳴いていました。
春から初夏のあいだだけに聞ける、季節限定の音風景です。
ところで、ウグイスは日本固有の鳥ではありません。
実は、ハワイ諸島にも「ウグイス」が生息しています。
1920年代にオアフ島へ導入された日本のウグイスは、今ではマウイ島やハワイ島の森林でも見られるようになり、高地では「ホーホケキョ」に似た声を聞くこともあります。
異国の地であっても、ふと耳にした鳴き声が日本の春を思い出させてくれるのは不思議な体験です。
ウグイスの声は、季節の移ろいを伝える「自然からの便り」。
都会の喧騒ではなかなか気づけない小さな音かもしれませんが、耳を澄ませば、春の足音は確かにそこにあります。
