【注意喚起】マダニによる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)にご注意ください
近年、日本各地で増加傾向にある「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は、SFTSウイルスを保有するマダニに咬まれることで感染する重篤なウイルス感染症です。
とくに農作業や野外活動に従事される高齢者の方々は感染リスクが高いため、十分な注意が必要です。
当院でも、最近農家を営む高齢の患者さんが、発熱・下痢・食欲低下が7日以上持続し、血液検査で血小板の著しい減少がみられる症例を経験しました。
この方は初期には風邪様の症状でしたが、状態が改善せず受診。採血で血小板減少と肝酵素の上昇があり、SFTSが疑われる経過をたどりました。
幸いにも近隣の中核病院へ紹介後ダニ刺し口が見つかり、早期の診断と対応により重症化は避けられましたが、初期の見逃しや受診の遅れが命取りになりかねない疾患です。
【SFTSの主な症状】
・発熱(38℃以上)
・食欲不振、倦怠感
・下痢、嘔気・嘔吐
・血小板・白血球減少、肝障害
・重症化で出血傾向、意識障害、DICなど
【予防のポイント】
・草むら・果樹園・山林では長袖・長ズボン・首元を覆う衣類を着用
・マダニ忌避剤(ディート、イカリジン含有スプレー)の使用
・作業後はすぐに入浴・着替えを行い、マダニが体に付いていないか確認
・マダニに咬まれたら、無理に引き抜かず速やかに医療機関を受診
SFTSは現在、有効なワクチンや特効薬がなく、早期の気づきと受診が重症化を防ぐ鍵です。
とくに高齢の農業従事者や山林作業に携わる方々は、本人だけでなくご家族や周囲の方も含めた注意喚起が重要です。
自然の中での活動が盛んになるこれからの季節、マダニ媒介感染症への意識と予防対策の徹底をお願いいたします。